閑人の「戯れ言」

気に入ったことは勿論ながら、気に入らないことも思いついたままに・・・・・・・

ヴァイオリニスト 五嶋みどり

 

先日NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」でヴァイオリニスト
五嶋みどりが放映された。


その凄さ、色々な意味で、を改めて感じた。


音楽家の抱える、或いは広く芸術家の抱える、勿論全ての人たちでは
無いが、危うさ、心が抱える問題が強く印象に残った。


昨日、あるヴァイオリニスト(プロで活躍中)と五嶋みどりのテレビ放映
について話しが及んだ時。
この人は、「見ていられなかった」と先ず言った。
放映では、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の一部を流して居たが、
その音色についての感想である。

 

兎に角、五嶋が常にヴァイオリンを手放さないで、弾き続けている。
本番前のオーケストラとのリハーサルが終わり、団員達は既に立ち去った後、
彼女は弾き続けている。
舞台から舞台の袖で、周囲が全く目に入らないような雰囲気で。
又、教えている学校では、生徒達が来る前後。
夜遅くまで・・・・とにかく弾く。
プロ奏者が、各々のスタイルで音を出す、練習をするのは当然だが、画面を
通じて見えてくるのは、弾く事に対する強迫観念。
その様な感想を、私は持った。


私の話したプロ奏者は、五嶋の母親がヴァイオリンを弾いていた頃の様子
も知っているとの事。
それなりに、個性のある人物であったようだ。
いずれにしても、その母親が「五嶋みどりに全てを賭けて」いる、と言う
事実。


切り立った崖の上の細い道を、彼女は唯々歩き続けている。
休む事が許されないで、ただ歩んでいる。
私の印象である。